迷えるイカ記

洋楽オルタナティヴロック、イラスト、そのたいろいろなものがたり

成人式。渋い振袖セットの思い出。

今週のお題「二十歳」

成人式になると必ずと言って思い出すのは、
実家の箪笥に渋い顔をして眠っている、朱色の豪華な振袖セットの事。
もちろん私はこの振袖を着て成人式に出たわけだが、この振袖は元々は私の姉が、父方の祖父母に買って貰ったものだ。


うちは元々貧乏だったので、成人式の晴れ着なんてものは、レンタルするか、叔母(母の妹)の晴れ着があるからそれを貸してもらおうかなんて話をしていたのだけど、祖母が、それでは子供に(姉にとって)良くないだろうからと、姉を誘い、振袖を買ってくれたのだ。
とはいえ、別にうちは振袖を買えないほどの貧乏でもなくて、成人式の年は姉は短大に在籍しており、私をこれから短大にでも出そうかとそういう準備をしていた頃である。貧乏だけど、子供が望めば、出来る限りの教育を受けさせたいという考えのもとで、育てていだんだと思う。
母は、祖父母とそこまで関係が良いわけでもなく、そもそも、父は祖父母と、母の間をなんとか取り持とうという気持ちも、能力もゼロであったので、仕方がないんだけど。嫁と言うものは、自分の力で、嫁いだ先の家と良い関係を結ぶべきだとも思っているのか、まぁ、自分は超絶コミュニケーション能力に難があるのを棚に上げての事だけど。
とにかく、何にも言えないまま、姉も、私も祖父母の買ってくれた振袖を着て成人式に出た。
驚くべきことは、祖父母の家も、さほど裕福でも無く、それから二、三年もしない内に、祖父母の家の建て替えを、我が家を同居させる事前提で(貧乏な賃貸暮らしの我が家に、経済的に頼る前提)、勝手に話を進めていたので、母がブチ切れて、絶縁状態になり、今に至る。

貧乏なのに孫に豪華な振袖を買ってあげるというのは、どういう行動原理っていうのかは、謎が多いかもしれないが、
単なる階級による考え方の違いなのかもしれない。私の母は、中産階級出のそこそこのお嬢様なので、教育が財産と考えていて、父親側のおうちは、昔ながらの「家族(制度)」が財産で、女の子はなんとかして嫁に出すみたいな事を考えているんだろう。
父は超絶コミニケーション能力に難があり、横暴なのに、そりゃないぜ!と思ってしまうけど、田舎の(田舎でなくても)保守的な所にはまぁまぁまだ途絶えてなさそうな考えだと思う。

 

そういうわけで、実家の箪笥には、所有権が曖昧になったまま誰も手をつけようとはしない、豪華な振袖セットが渋い顔をして眠っているのである。

 

ばいちゃ。