五年以上も前の事になると思うけど、夫と二人で深夜に家を出発して「立山黒部アルペンルート」 に行った事がある。 深夜に出たのは、あちらでは車を降りてケーブルカーなど、かなりの数の乗り継ぎをして現地に行く必要があるので、時間的な都合によるものだ。
深夜、途中のPAで休憩をしながら車を走らせる。ラジオからはお笑いタレントぐっさんのラジオならでわの物まねをする声が流れていた。その深夜のテンションが、二人のツボに入り大笑いして、今でも二人で思い出してその話をしながらけらけら笑いあうことがある。立山黒部アルペンルートも、もちろん良かったけど、 つい思い出すのは、その深夜のテンションで聞いたとりとめもない番組の事。
そのことを思い出す度、多分この先、深夜に家を出発して国内旅行に行くなんてことは、もうないと強く感じる。
未来についてなんて、年齢を重ねる度に、私に限られた時間や出来る事が狭まっていく、それだけだとしか思っていないし、唯一心にあるのは、人はいずれ必ず死ぬという事だけだ。
私は、眠りが浅いのか少しの事で深夜にすぐ起きてしまうんだけど、起きたら、たいてい尿意を覚えて静かに用を足しに行く事がある。
トイレから戻り、ベッドにできている布団の穴の中に潜り込み、夫が寝ていることを確認する。枕に浅く頭を沈めながら、 「今日も生きている」と確認するように再び眠りに入る。
未来とか、将来とか、今も昔もそんなに深く考えられずに生きているけれど、こういう幸せな日々が続けばいいなとは思っている。
ばいちゃ