迷えるイカ記

洋楽オルタナティヴロック、イラスト、そのたいろいろなものがたり

感動でパッケージされた物を売ると言う事。

「宣伝を効果的にするには、人々の感情に訴えかけるべきであり、いわゆる知性に対して訴えかける部分は最小にしなければならない」 これはアドルフヒトラーがあげた宣伝手法であり、現代でもこう言った手法はマーケティングなどにも活用されている。商品のパッケージや宣伝には「感情に訴えかける」ことが有効と言うのは、悲しいことに歴史がそう証明している。

前回の記事、 愛を持って紹介したい平成!(2) - 迷えるイカ記 で「商業主義(大手が広告を展開して音楽を売る)」に対抗する形でオルタナティヴミュージックが生まれたと言うことを書いたが、 音楽の分野でも「感動=物語」を売ると言う手法は有効で、「亡くなった恋人の事を歌いました」とか、そいうので人を惹きつけるのだ。 「お金なんか気にせずに、純粋に音楽やってます」みたいな「清貧」「純粋」とかも、そうなのだろうし、アイドルの「処女性」などもそうだろう。
「感動=物語」で売る事が、良いこととか悪いことと言うわけではなく、そう言う「ツール」があるってこと。 そして、ロックバンドなどについてはどうすべきかってのも、それぞれ好きにやれば良いけど、 私的には、音楽なら「感動でパッケージして」売るよりも、人の心をぐっと動かすような性質の物を作って発表することに心を注いだ方がいいと思う。 感動を買ってる人は、例えば「清貧」に心を打たれて買った人は、商品に「清貧」を見出せなくなったら、買うことはないだろう。 良いものが売れると言うことは限らないが、自分の商品はなんなのか?と自分に問いかけると自分の作りたいものが見えてきてそれを忠実に研ぎ澄ますしかないと思う。

アメリカ合衆国の宣伝分析研究所は、プロパガンダ技術を分析し、次の7手法をあげている。  

  • ネーム・コーリング - レッテル貼り。攻撃対象をネガティブなイメージと結びつける(恐怖に訴える論証)。  
  • カードスタッキング - 自らの主張に都合のいい事柄を強調し、都合の悪い事柄を隠蔽、または捏造だと強調する。本来はトランプの「イカサマ」の意。情報操作が典型的例。マスコミ統制。  
  • バンドワゴン - その事柄が世の中の趨勢であるように宣伝する。人間は本能的に集団から疎外されることを恐れる性質があり、自らの主張が世の中の趨勢であると錯覚させることで引きつけることが出来る。(衆人に訴える論証)  
  • 証言利用 - 「信憑性がある」とされる人に語らせることで、自らの主張に説得性を高めようとする(権威に訴える論証)。  
  • 平凡化 - その考えのメリットを、民衆のメリットと結びつける。  
  • 転移 - 何かの威信や非難を別のものに持ち込む。たとえば愛国心を表彰する感情的な転移として国旗を掲げる。  
  • 華麗な言葉による普遍化 - 対象となるものを、普遍的や道徳的と考えられている言葉と結びつける。

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この中の

  • バンドワゴン - その事柄が世の中の趨勢であるように宣伝する。人間は本能的に集団から疎外されることを恐れる性質があり、自らの主張が世の中の趨勢であると錯覚させることで引きつけることが出来る。(衆人に訴える論証)  
  • 華麗な言葉による普遍化 - 対象となるものを、普遍的や道徳的と考えられている言葉と結びつける。

アーティスト活動に対し、契約段階になって「お金ためにやってるの?」「そんなんじゃこの(音楽の)世界でやっていけない」とか言いお金の契約をぼかしたりする契約者は、この洗脳テクニックを使っているだけである。「自分の商品」があるなら、きちんと金銭契約はするのが当たり前なのです。もちろん「思い」みたいな空気を売っているのなら、タダで受けてもいいだろうけど。 こう言う人の言葉は、お金が尽きて宗教活動するときにでも思い出せばいいでしょう。きっと役立ちます。

ちなみに「物語で歌をうる」って言うのがどういうことかは、スラムドッグミリオネアと言う映画を見るとよくわかります。話の中で、歌の上手い子供を育て、目を薬で潰して、その子に街角で歌を歌わせ、「目の見えないかわいそうな僕にお恵みを」みたいな物乞いをさせお金をがせぐと言う大人たちが出てきます(歌のうまくない子にはかっぱらいや、売春などをさせます)。極端ですが、それがそうでしょう。貧しい国ならではですね。

 

 

ばいちゃ